2023.06.19
アートエコーまんのう+山の小さな展覧会2022に出展いただいた田島征三さんと渡部よしこさんが来県し、高松市大島での「森の小径」メンテナンスを行った。2016年に瀬戸内国際芸術祭に際して田島さんが制作した小宇宙のようなアースアートです。基本的に「庭」であり青松園入所者の方が年を経て車椅子やストレッチャーに乗っても植物を見て楽しめるようにゆっくりとした遊歩道があります。七年目を迎え多種多様な植物が潮風に負けず生き生きとしていてエネルギーに満ちている空間です。
今年2月、田島さんが呼びかけた「森の小径後継ワークショップ」に私たちは参加しました。そして田島さんの意思を受け継ぎ継続していくための地元香川県民で作る「森の小径グループ」を結成し今回そのうち8名が参加し汗を流しました。この作品の制作について田島さんが話している中で「ヤマツツジ」の話があります。島の山頂に淡いピンクの美しいヤマツツジが咲き入所者の皆さんは、そこにあずま屋を立て弁当や酒を友にし楽しんだ。高齢化もあり今ではそこに行く人もいなくなった。その話を聞いた田島さんがその思いを受け潮風には弱いとされる「ヤマツツジ」を植え潮風に強い樹木で風を和らげまだ背丈ほどには成長していないがしっかり「ヤマツツジ」の花を咲かせることができた。そして今回作業中に田島さんが私に「ほら、そこにツツジの葉があるでしょ」とそっと教えてくれました。
ハンセン病差別に強い怒りと元患者の皆様の心に寄り添う思いが具現化したのがこの「森の小径」であると思います。
私たちは、日常生活で木々の色の移り変わりなど自然の変化に時の流れを感じその中で生かされていることを実感させられる瞬間があると思います。ヒューマニズムにあふれ哲学的でもあるこの作品に関われることは、意義深く楽しいものです。共感し参加いただける方歓迎します。
文、谷川 博史